「日本の1/2革命」を読んで①

今回、池上彰氏と歴史小説家の佐藤賢一氏の対談を書いた「日本の1/2革命」を読んでみました。

 この本では日本の今までの明治維新や敗戦後のGHQによる支配などをフランス革命と比べて1/2革命と位置づけてかかれていました。
なぜ、フランス革命から見ると1/2かというと、フランス革命はバスティーユ牢獄の襲撃から始まって、1789年に人権宣言が採択されます。これが第一段階。その後、1792年に王制を廃止して共和制を開始します。王の処刑を断行し、ジャコバン派が恐怖政治を行っていきます。これが第二段階。

 これに対し、日本の明治維新などは確かに徳川幕府に大政奉還をさせて、明治天皇を中心にした新体制を築きましたが、将軍を殺したりはしなかった。第二次大戦後の敗戦においても天皇制を廃止はしなかった。
そういった意味において日本での革命は第一段階で止まっている。第二段階のあったフランス革命から見れば1/2革命だということになります。

 しかし、本書では必ずしもフランス革命がよかったわけではないという位置づけでした。というのも、フランス革命の第二段階というのは王様をギロチンにいて、外国とも戦争をし、内部でも意見は割れてジャコバン派のロベスピエールは恐怖政治をしき、反対派を粛清に粛清を加えて、多くの人々を殺していく、血みどろの道をたどることになるわけです。

 その点、明治維新では江戸城無血開城をしたりと一体に清清しいイメージがある。温微的な日本人の性格もあるのでしょうが、革命をうまく軟着陸させているともいえるのです。


 本書を読むまでは革命というと新体制が生まれていいような気がしていましたが、世界の歴史を見ていると、革命後の混乱はすさまじしく、必ずしも民主主義的な政権ができるとは限らないようです。


革命による新政権が独裁政治をおこなうようなこともしばしばのようで、今、フェイスブックなどが火付け役になって中東で起きている独裁政権に対する民衆の放棄も、今後、独裁政権を倒した後に、今までに野党のような存在が育っていない中で民主的な政治体制を作り上げることができるかどうかは非常に難しく、最悪の場合、このまま何十年にわたって泥沼の内戦状態になったり、イスラム原理主義などが台頭して、新たな独裁政治が行われる可能性もあるようです。



2011/07/20(S)

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