会社設立(法人設立)のメリット・デメリット
新たに事業を始める場合に個人事業として行う場合と法人を設立して行う場合とでどのような差があるのかを簡単にまとめて見ました。
【法人設立のメリット】
① 個人事業よりも会社から役員報酬をとるほうが節税できる。(ただし、役員報酬は期中は変えられない。)
② 赤字になった場合に欠損金を9年間繰り越し控除ができる。(個人は3年が限度)
③ 役員が辞める際に退職金の支給ができる。(退職金の税金はかなり優遇されている)
④ 資本金1千万円未満なら設立後の最初の2期は消費税が免税となる。(一部改正)
⑤ 会社名義の車両関連費などは全額会社の費用とできるが、個人の場合には家事消費を一定の割合で引かなければならない。
⑥ 会社では掛け捨ての生命保険料は全額、会社の費用として計上でき節税ができますが、個人だと保険料控除で5万円(一般の生命保険)までしか控除できない。
⑦ 日本政策金融公庫や区の制度融資などで創業融資を受けやすかったり、一部助成金を受けれる場合もある。
⑧ 取引先などの社会的信用が高まり、従業員の採用も有利になる。
【法人設立のデメリット】
① 設立時に登記や定款認証など25万~45万くらいの費用がかかる。
② 記帳は複式簿記で行う必要があり、個人より決算、申告作業に手間がかかるので、その分、税理士の顧問報酬も高くなる。
③ 赤字でも毎年7万円の住民税均等割がかかる。(個人の場合は赤字ならかかりません。)
④ 従業員を雇った場合に社会保険への加入義務がある。(会社の費用負担が増します。)
⑤ 資本金1億円以下の法人で交際費の損金算入できる金額は600万円の90%までとなる。個人の場合には限度額の設定がありません。
上記をまとめると、法人にした場合には社会的責任が増すことからデメリット②③④のようにある程度の費用がかかってきます。
しかし、ある程度売上が期待できるのであればメリット①~⑥による節税ができます。
具体的に①について例をあげると、1つは、個人の所得税が超過累進課税といって、所得が上がるほど税率が高くなるので、ある程度の所得がある場合には法人で利益を出したほうが税率が安くなります。下記の表を参照していただくと所得が330万円までは個人の税率25%<法人の税率26.1%で個人のほうが有利ですが、330万円超695万円では個人の税率35%>法人の税率26.1% or 28.4%と法人が有利になります。さらに所得が増えれば増えるほど法人のほうが有利であるということがわかるかと思います。平成24年4月1日以後ではさらに法人の実効税率が約5%下がるため益々法人のほうが有利になります。
2つ目として法人にした場合には会社から個人が役員報酬を取ることができます。この役員報酬(個人の給与所得)には給与所得控除といって、税金の計算上、給与所得者の概算の経費として控除できる金額があります。(個人で事業を行っている場合には給与所得にはなりませんのでこの控除は使えません。)
この給与所得控除の金額は例えば役員報酬が年間500万円なら154万円、1,000万円なら220万円控除ができますので、その分税金が安くなります。なお、平成24年1月以降は改正により1,500万円以上の役員報酬については245万円までの所得控除で頭打ちになりました。
3つ目として、親族に仕事を手伝ってもらうことでその親族に給料を支払うことができます。上記の表のとおり、税率は課税所得が高くなるほど高くなりますので、会社と代表者と代表者の奥様などで所得を分散することで節税を図ることができます。
電話番号:鴫村税理士 048‐975‐3671
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